この記事のポイント
- ステーキングはPoSブロックチェーンに暗号通貨を預けて報酬を得る仕組みで、年利3〜15%程度が一般的
- 取引所ステーキング、ウォレット直接ステーキング、リキッドステーキングの3つの方法がある
- ロック期間中は資産を引き出せないため、急な価格変動に対応できないリスクがある
- リキッドステーキングを活用すればステーキング報酬とDeFi運用の「二重取り」が可能
- 余裕資金で行い、信頼性の高いプロジェクトとバリデーターを選ぶことが成功の鍵
ステーキングとは
ステーキングとは、保有する暗号通貨をブロックチェーンネットワークに預け入れ(ロック)、ネットワークの運営に貢献することで報酬を得る仕組みです。銀行にお金を預けて利息を受け取るのと似ていますが、ステーキングではブロックチェーンの取引検証やセキュリティの維持に直接貢献している点が異なります。
ステーキングはPoS(Proof of Stake:プルーフ・オブ・ステーク)というコンセンサスアルゴリズムを採用しているブロックチェーンで利用できます。2022年にイーサリアムがPoW(Proof of Work)からPoSに移行したことで、ステーキングは一気に注目を集めました。現在ではSolana、Cardano、Polkadot、Cosmosなど多くの主要プロジェクトがPoSを採用しています。
ステーキングの報酬率(APY:年間利回り)はプロジェクトやネットワークの状況によって異なりますが、一般的に年利3〜15%程度です。銀行預金の金利と比較すると非常に魅力的ですが、暗号通貨自体の価格変動リスクがある点を忘れてはなりません。
PoS(Proof of Stake)は、PoW(Proof of Work)と比べて消費電力が99%以上削減されます。イーサリアムのPoS移行(The Merge)では、ネットワーク全体のエネルギー消費が約99.95%減少しました。
ステーキングの仕組み
PoSブロックチェーンでは、バリデーター(検証者)と呼ばれるノードが新しいブロックの生成と取引の検証を行います。バリデーターになるには一定量の暗号通貨をステーキング(担保として預入)する必要があり、不正な行為を行うとステーキングした資産の一部が没収(スラッシング)されるペナルティがあります。
一般のユーザーが直接バリデーターになるには高額な資金と技術的な知識が必要です。たとえばイーサリアムのバリデーターになるには32ETH(数百万円相当)が必要です。そこで、少額からでも参加できるデリゲートステーキング(委任ステーキング)という仕組みがあります。ユーザーは自分の暗号通貨をバリデーターに委任し、報酬を分配してもらうことができます。
ステーキングされた暗号通貨はロックされるため、通常は一定期間引き出すことができません。この期間はアンボンディング期間と呼ばれ、ブロックチェーンによって異なります。たとえばCosmosでは21日間、Polkadotでは28日間のアンボンディング期間があります。この間に暗号通貨の価格が大きく変動するリスクがあることを理解しておきましょう。
- バリデーター:ブロック生成と取引検証を行うノード。高額な担保と技術知識が必要
- デリゲーター:バリデーターに暗号通貨を委任して報酬を受け取るユーザー
- スラッシング:不正行為に対するペナルティ。ステーキング資産の一部が没収される
- アンボンディング期間:ステーキング解除後に資産が引き出せるようになるまでの待機期間
スラッシング(没収)は、バリデーターの二重署名やダウンタイムなどの不正・不具合が原因で発生します。委任ステーキングでもスラッシングの影響を受ける場合があるため、バリデーターの稼働率と実績を必ず確認しましょう。
ステーキングの方法
ステーキングを始める方法は主に3つあります。第一に、取引所ステーキングです。Coincheck、bitFlyer、Binanceなどの取引所が提供するステーキングサービスを利用する方法で、最も簡単に始められます。取引所の画面から数クリックで手続きが完了し、技術的な知識はほとんど不要です。
第二に、ウォレットから直接ステーキングする方法があります。公式ウォレットやMetaMaskなどのWeb3ウォレットを使い、自分でバリデーターを選んでステーキングを行います。取引所よりも高い報酬率を得られることが多いですが、バリデーターの選定やトランザクションの操作を自分で行う必要があります。
第三に、リキッドステーキングがあります。Lido、Rocket Poolなどのプロトコルを利用すると、ステーキングした資産の代わりにstETHやrETHといったトークンを受け取れます。これらのトークンはDeFiで活用できるため、ステーキング報酬を得ながら同時にDeFiでも運用するという「二重取り」が可能になります。
- 1取引所ステーキング:最も簡単。取引所の画面から数クリックで開始できる
- 2ウォレット直接ステーキング:バリデーターを自分で選択。報酬率が高い傾向
- 3リキッドステーキング:資産の流動性を保ちながらステーキング報酬を得られる
リキッドステーキングは流動性を確保しつつ報酬を得られる便利な方法ですが、受け取るトークン(stETH等)の価格が原資産と乖離するリスクがあります。大規模な市場混乱時にはデペグ(価格乖離)が発生することがあるため注意が必要です。
ステーキングのメリット
ステーキングの最大のメリットは、保有しているだけの暗号通貨から定期的な収入を得られる点です。長期保有(ガチホ)を前提としている投資家にとっては、売却せずに追加のリターンを得られる非常に魅力的な方法です。複利効果を活用すれば、時間の経過とともに保有量を着実に増やすことができます。
もう一つの重要なメリットは、ブロックチェーンのセキュリティに貢献できることです。ステーキングに参加するバリデーターが増えるほど、ネットワークの分散化が進み、攻撃に対する耐性が高まります。自分が使っているブロックチェーンの安全性を高めながら報酬を得られるのは、PoSならではの利点です。
複利効果の具体例:年利5%で100ETHをステーキングした場合、報酬を再ステーキングし続ければ、10年後には約163ETH(単利なら150ETH)に成長します。長期保有者ほどこの差が大きくなります。
ステーキングのリスクとデメリット
ステーキング中は資産がロックされるため、急な価格下落時にすぐに売却できないリスクがあります。アンボンディング期間中に暗号通貨の価格が暴落した場合、大きな損失を被る可能性があります。リキッドステーキングを利用すれば流動性の問題は緩和されますが、スマートコントラクトのリスクが加わります。
スラッシングリスクも考慮すべきです。委任先のバリデーターが不正行為を行ったり、長時間オフラインになったりした場合、ステーキングした資産の一部が没収される可能性があります。信頼できるバリデーターを選ぶこと、複数のバリデーターに分散して委任することで、このリスクを軽減できます。
また、ステーキング報酬は日本では原則として課税対象です。報酬を受け取った時点での時価が所得として計算されるため、確定申告が必要になります。報酬の記録は自動的に管理されない場合もあるため、自分でしっかりと記録を残しておきましょう。
- ロックアップリスク:アンボンディング期間中に価格が急落しても売却できない
- スラッシングリスク:バリデーターの不正や障害により資産の一部が没収される
- スマートコントラクトリスク:リキッドステーキング利用時のコード脆弱性
- 税務リスク:報酬の受取記録の管理と確定申告の複雑さ
- インフレリスク:報酬として新規発行されるトークンが価格を希薄化する可能性
ステーキング報酬は日本の税法上、受け取った時点の時価で「雑所得」として課税されます。年間の報酬総額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。Koinlyやクリプタクトなどの税金計算ツールの活用を検討しましょう。
初心者がステーキングを始めるためのアドバイス
ステーキングを始める前に、まずそのブロックチェーンプロジェクトの将来性を十分に調査しましょう。高い報酬率だけで判断するのではなく、プロジェクトの技術力、開発チーム、コミュニティの活発さ、ロードマップなどを総合的に評価することが重要です。報酬率が異常に高いプロジェクトは、それだけリスクも高い場合があります。
初心者の方には、まずイーサリアムやSolanaなど実績のあるブロックチェーンでのステーキングから始めることをおすすめします。取引所のステーキングサービスを利用すれば、操作も簡単で安心です。慣れてきたらウォレットからの直接ステーキングやリキッドステーキングにもチャレンジしてみましょう。
最後に、ステーキングは「余裕資金」で行うことが鉄則です。ロック期間中に資金が必要になっても引き出せない場合があるため、生活に必要な資金は絶対にステーキングに回さないでください。長期的な視点で、無理のない範囲で始めることが成功の秘訣です。
- 1まず投資するプロジェクトの将来性・信頼性を十分にリサーチする
- 2国内取引所のステーキングサービスで少額から始める
- 3操作に慣れたらウォレット直接ステーキングに挑戦する
- 4リキッドステーキングでDeFi運用との組み合わせを検討する
- 5報酬の受取記録を定期的に管理し、確定申告に備える
バリデーター選びのポイント:稼働率(uptime)が99%以上、手数料(commission)が適正(5〜10%程度)、ステーキング量が過度に集中していないこと。複数のバリデーターに分散委任すればリスクをさらに低減できます。