この記事のポイント
- マイニングとは暗号通貨の取引検証とブロック生成を行い、報酬として新規発行通貨を受け取る行為
- Proof of Workは計算能力の競争、Proof of Stakeは保有量に基づく選出という異なるコンセンサスメカニズム
- ソロ・プール・クラウドの3種類のマイニング方法があり、それぞれメリットとリスクが異なる
- 日本は電気代が高く、個人マイニングは採算が取りにくいのが現状
- マイニング報酬は雑所得として課税対象となり、確定申告が必要
マイニングとは何か
マイニング(採掘)とは、暗号通貨のネットワーク上で取引の検証と新しいブロックの生成を行い、その報酬として新しく発行された暗号通貨を受け取る行為です。金の採掘に例えて「マイニング」と名付けられました。マイナー(採掘者)はコンピュータの計算能力をネットワークに提供することで、ブロックチェーンの安全性と信頼性を支える重要な役割を担っています。
ビットコインを例にすると、世界中のマイナーが同じ計算問題を解く競争を行い、最初に正解を見つけたマイナーが新しいブロックを生成する権利を得ます。この競争に勝つと、ブロック報酬(2024年の半減期以降は3.125BTC)と、そのブロックに含まれる取引の手数料を報酬として受け取ります。
マイニングは単に暗号通貨を「掘る」だけでなく、ネットワークの安全性を維持する重要なインフラ機能を果たしています。マイナーが取引を検証し、ブロックチェーンに正確に記録することで、二重支払いなどの不正を防止しています。
マイニングという名前は金の採掘に由来しています。金と同様に、ビットコインも掘れば掘るほど採掘難易度が上がり、残りの量が減っていく仕組みが設計されています。
Proof of Work(PoW)の仕組み
Proof of Work(仕事の証明)は、ビットコインが採用しているコンセンサスアルゴリズムです。マイナーは「ナンス」と呼ばれる数値を変えながらハッシュ計算を繰り返し、一定の条件(先頭にゼロが並ぶハッシュ値)を満たす値を見つける競争を行います。この作業には膨大な計算能力が必要で、大量の電力を消費します。
PoWの安全性は、この計算の困難さに基づいています。ブロックチェーンを改ざんするには、ネットワーク全体の計算能力の51%以上を掌握する必要があり(51%攻撃)、ビットコインほどの大規模ネットワークでは実質的に不可能とされています。計算に使ったエネルギーが「証明」となり、不正を行うコストを不正によって得られる利益よりもはるかに高くする設計になっています。
マイニングの難易度は約2週間ごとに自動調整され、ブロック生成間隔が平均10分になるように保たれています。マイナーが増えて計算能力が上がると難易度も上がり、マイナーが減ると難易度が下がります。この仕組みにより、ビットコインの発行ペースが一定に維持されています。
51%攻撃とは、ネットワークの計算能力の過半数を掌握して不正な取引を承認する攻撃です。ビットコインでは実質不可能ですが、小規模な暗号通貨では実際に被害が発生した例があります。
Proof of Stake(PoS)との違い
Proof of Stake(保有量の証明)は、PoWの代替として注目されているコンセンサスアルゴリズムです。PoSでは計算能力の競争ではなく、暗号通貨を一定量預け入れる(ステーキング)ことでブロック生成の権利を得ます。預け入れ量が多いほど、ブロック生成者に選ばれる確率が高くなります。
PoSの最大のメリットは、エネルギー消費が圧倒的に少ないことです。イーサリアムは2022年のThe Mergeでに移行し、電力消費を約99.95%削減しました。また、高価な専用機器が不要で、一般的なコンピュータでも参加できるため、参入障壁が低いという利点もあります。
一方で、PoSにはPoSにはPoSなりの課題もあります。大量の暗号通貨を保有する者がネットワークの支配力を持ちやすい「富の集中」の問題や、ステーキング中は資金がロックされる流動性の制約などが指摘されています。PoWとPoSはそれぞれに長所と短所があり、どちらが優れているかは用途や価値観によって異なります。
- PoW:計算能力の競争で報酬を得る。高いセキュリティだが電力消費が大きい
- PoS:暗号通貨の保有量に基づいて報酬を得る。省エネだが富の集中リスクがある
- DPoS(委任型PoS):保有者が代表者に投票してブロック生成を委任する方式
マイニングの種類と方法
マイニングの方法は大きく3つに分類されます。「ソロマイニング」は個人で単独で行う方法ですが、現在のビットコインマイニングでは個人が報酬を得ることはほぼ不可能なほど競争が激しくなっています。「プールマイニング」は多数のマイナーが計算能力を合わせて採掘し、報酬を貢献度に応じて分配する方法で、安定した収入を得やすいのがメリットです。
「クラウドマイニング」は、マイニング事業者からハッシュパワー(計算能力)を購入し、マイニング報酬を受け取る方法です。自分で機器を管理する必要がないため手軽ですが、詐欺的なサービスも多いため、信頼性の確認が重要です。収益が初期投資を上回るかどうかを慎重に計算する必要があります。
ビットコインのマイニングには現在、ASIC(特定用途向け集積回路)と呼ばれる専用機器が使われています。Bitmain社のAntminerシリーズなどが代表的で、1台数十万円から数百万円の価格帯です。他の暗号通貨ではGPU(グラフィックスカード)でのマイニングが可能なものもあります。
マイニングに興味がある初心者には、まずNiceHashなどのプラットフォームで手持ちのGPUを使った小規模マイニングを試してみるのがおすすめです。仕組みを学びながら、収益性を体感できます。
マイニングの収益性と現状
マイニングの収益性は、暗号通貨の価格、マイニング難易度、電気代、機器の効率といった要因に大きく左右されます。特に電気代が収益に直結するため、電気代が安い地域(アイスランド、カナダ北部、テキサスなど)にマイニングファームが集中する傾向があります。日本は電気代が高いため、個人でのマイニングは採算が取りにくいのが現状です。
2024年のビットコイン半減期により、ブロック報酬が6.25BTCから3.125BTCに半減しました。これにより、マイニングの収益性は低下し、効率の悪いマイナーは撤退を余儀なくされています。生き残っているのは最新の高効率機器を使用し、安価な電力を確保できる大規模な事業者が中心です。
環境問題への関心の高まりも、マイニング業界に変化をもたらしています。再生可能エネルギーの利用が増加傾向にあり、余剰電力や排熱の有効活用など、サステナブルなマイニングへの取り組みが進んでいます。また、PoSへの移行が進む中で、PoWマイニングの将来像は暗号通貨コミュニティ内でも議論が続いています。
- 暗号通貨の価格:価格が上がれば収益性が向上、下がれば悪化
- マイニング難易度:参加者が増えると難易度が上がり、1台あたりの報酬が減少
- 電気代:収益の大部分を占めるコスト。日本は世界的に見て割高
- 機器の効率:最新のASICは古い機器と比べて消費電力あたりの計算能力が格段に高い
個人でマイニングを始める前に
個人でマイニングを始めることを検討している場合、まず収益シミュレーションを行うことが重要です。WhatToMineやNiceHashなどのツールを使えば、保有する機器の計算能力と電気代から、想定される収益を計算できます。機器の購入費用、電気代、冷却コスト、メンテナンス費用を含めた総コストが、マイニング報酬を上回るかどうかを慎重に判断しましょう。
マイニングには騒音と発熱の問題もあります。ASIC機器は掃除機並みの騒音を発し、大量の熱を放出します。一般的な住宅環境で運用するには限界があるため、設置場所の確保も事前に検討してください。また、電力使用量が大幅に増加するため、契約アンペアの見直しが必要になる場合もあります。
マイニングで得た暗号通貨は、日本の税法上、取得時の時価で所得として計上する必要があります。マイニング報酬は雑所得に分類され、確定申告が必要です。電気代やハードウェア費用は経費として控除できる可能性がありますが、詳細は税理士に相談することをおすすめします。
マイニング機器は高額な投資です。購入前に必ず収益シミュレーションを行い、電気代を含めた回収期間を計算しましょう。暗号通貨の価格下落や難易度上昇で、投資回収が困難になるリスクもあります。